気になること〜犬について

私の頭の片隅でいつも気になること

 

保護犬、ホームレス、美、芸術

 

可哀想な犬や動物のニュースを見ると手も思考も止まる

過酷な状況のホームレスの人

同情なのか分からない

助けたい、なんとかしたい

でも、その道で生きて行こうと想う勇気はいつもない

 

美と芸術は、人生の裏を垣間みているドラマを知ることができる

 

自分もいつかそんなエネルギーを爆発させたいと

変なエネルギーをいつも抱えて、力が有り余っている

決して才能があるとかではない

 

最近、実家の犬が年を取ったと感じる

父が家に一人で、留守にしている間

彼(犬)にわざわざ会いに行く人は、わたしだけ

 

昼間はきっと 日当りのいいリビングで、もしくは、

一家に帰ってくる父のベッドで一人で寝ているのだろう

 

ただ、父は誰に対しても愛情表現をする人間ではない

口数も少なく、スキンシップもしない

テレビの方向を向いたら人の声は届かない

 

話し好きで情緒豊かな母がいなくなり、

兄も姉も実家を訪ねることが少なく

姪たちも犬のお世話にはあまり関心がない

 

家には留守をしがちな父と犬

年を取ったと感じる

そして、犬の表情はいつも困惑して寂しげだ

何かを伝えたいのか、諦めているような表情

 

保護施設から実家にやってきたのは11年前

2年という短命だったチャンピオン犬の血筋の

シェットランドシープドッグ

ソラちゃんの過酷な闘病があり

家族がペットロスで疲れきっていた

 

そなとき母がネットで保護犬を

引き取ろうと行動したのがきっかけで

うちにやってきた

 

認知症の始まりかけた祖母を母が家に引き取ろうと決め

祖母の認知症の緩和のために犬を迎え入れようとした

 

ネットの情報と、事前の施設の説明のとき、彼はその場にいなかった

小さなチワワや雑種の白い犬など穏やかな子がその場にいた

 

祖母のためにもおとなしく小柄なチワワを、

次回には引き取ろうとほぼ決めていた

 

なぜ、そのとき、彼はいなかったのだろう

 

去勢手術をしていたのだという

 

引き取りに行くその日、私は何か用事があったのか保護施設には行けなかった

 

犬を家に迎え入れるその日を、

小さなときからドキドキ、ワクワクしていたのを

思い出す

 

彼が来るその日もそんな気持ちだった

 

実家に行ってぎょっとした

 

彼はチワワではなかった

 

毛むくじゃらで、目も毛で覆われて、

おとなしいけど、少し大きくて、足が長くて、、、

一目で可愛いという見た目ではなかった

ただ、びっくりして、珍しくて、見たことがなくて。

何犬なの?

 

でも、そいつは、決して一言も吠えなかった

 

ゲージがなかったので網で囲って、家族皆でリビングの中央で

珍しく彼を見ていたのを思い出す

 

父と母がチワワを引き取ろうと施設に行ったとき、

他の犬とは離れたところに一人、太い鎖でつながれていたそうだ

彼は、一言も吠えずに、でも威嚇するわけではなく

興奮した様子でただただ、こちらに向かってワシャワシャしていたそうだ

 

父も母も、「この犬はいったいなんなんだ?」という

妙な興味で、彼から目を離せなかったという

 

他の譲渡希望の人は、かれに一切興味を持たなかった

 

シェルティーみたいな優雅さなどひとかけらもなかった

 

青い、スヌーピーの汚れた首輪とリード

スヌーピーの器

それが彼の所有物

 

どんな人がどんな理由で、彼を捨てたのだろう

彼は、捨てられていたのだ

1歳

 

散歩の仕方も分からず、獣のようにリードを引っ張り、

それでも、食事はがっつかずに、やっぱり、吠えなかった

 

きっとお散歩したことなかったんだろうね

いつも留守番していてい

子犬のときはきっと愛くるしくて引き取られたけど

大きくなって、飼い主さんは忙しくなって

環境が変わって君をお世話できなくなったのかな

 

車に乗ると、いるのを忘れるくらいおとなしかった

散歩をすると男の人に反応していた

掃除機の音を以上に恐がり、嫌なことを想像させた

 

ねえ、君はどんなところで生まれてどんな飼い主さんにもらわれて

いつ、どこで、捨てられたの

 

どうして、君のことを捨てられる人がいたの

考えると胸が詰まる

 

奇妙で毛むくじゃらなこいつを、母も私も、大好きになった

 

認知症の祖母が、玄関の掃除をした隙をねらって

君は、街に逃げ出したときもあった

 

その夏、私は必死でいつもの散歩コースを自転車で探しまわったよ

君の名前を叫んだよ

そこにいる、ホームレスの人に訊ねようかと血迷ったよ

 

でも、すぐそこの小学校の前で右往左往してたって

ショップの店員さんが警察に届けてくれた

 

事故にも遭わずにうちに帰ってきてくれた

でも、きっと、君はうんともすんとも吠えてなかったと思う

10年前の夏

 

今は、母も祖母も、もういない

私も住む場所が変わり、ほとんど会えない

 

母がいなくなって寂しいのは人間だけじゃない

彼の表情をみていると感じる

 

それに加えて、心にぽっかり穴の開いたような父と暮らす犬には

きっと、誰にも知られることのない寂しさがあるのだと

でも、かれには父しかいない

いつも、毎日父の帰りを待っている

 

母の病床にも君は来たよね

葬儀にも来てくれたよね

 

お母さんは君のこと、ほんとにかわいいやつだと、言っていたよ

私もそう思っているよ

 

ペペやソラちゃんみたくお利口ではないけど。

 

君がいるから、父は今も散歩をする理由がある

君がいるから、私は実家に行く理由がある

 

みんなが構わなくても私は君のことをいつも想っているよ

 

毎日散歩に行けなくてごめんね

 

いつもお父さんと、いてくれてありがとう

 

犬は、飼われている犬はお世話をされないと

生きて行けない

いつも、飼い主のことを待っている

 

楽しみは、お散歩とご飯

それに飼い主と過ごす時間

 

人間の都合や環境の変化もある

でも、飼われている犬は人間の都合で人間の家にいる

 

最後まで家族として、君のことは大切にする努力をするからね

ほんとうにうちにいてくれてありがとうね

カール

大好きよ