お空に

迷いの気持ちのまま先に進もうとして
結局、うまくいかなかった


わかってからたったの3週間


その日の前日
大喧嘩をした
体調不良が続き、
お腹が痛くて、嫌な予感しかしなかった
3日間体調に異変が続いた
水曜日の夜中にお腹の痛みが凄まじくなった
これはだめかも、ずっとそう感じてた

木曜の朝、大量に出血
トイレに行ってもう駄目だと、一人悟った
怖かった

会社には遅刻することを伝えて
気休めにお腹にカイロを貼って
バスで朝一の病院へ向かった

診察時間までタリーズでハニーオレを飲んで過ごした
天気が良くてそれでも私の身体は冷たくて
窓際の陽のあたる場所に座って涙をこらえた

一度泣いたら止められなくなると思った
それでもどうやって泣いたらいいかわからなかった
だからどこか冷静だった

病院についたらもう他の患者がいた
みんなきっと、幸せな人

5番の札を渡されてまあまあすぐに呼ばれた

お腹はずっと痛かった
診察台で超音波画像を少し見た
たぶん、もう、いなかった

先生は詳しくは語らずに処置をしてくれていた

ひとこと
「赤ちゃんいなくなっちゃいました」

「はい」
としか言えなかった

泣けなかった

でも、処置してくださってお腹の痛みが
一気になくなった、、 
私が痛かったのと同じで苦しかったのかな
赤ちゃん
ごめんね

待合室で先生との、面談を待つ間動揺は
隠せなかった

なぜ流産したのか、詳しく聞けなかった
どう聞いたらいいか分からなかった
私が悪いから

また
先が見えなくなった気がした

見え始めた光りが、真っ暗になった

「検体を検査してから次を考えましょう」と言われた

また長い、しんどい時間が始まる

お会計を済ませて受付の人に
「お大事にどうぞ」
と言われて病院での仕事はこういうつらい人を
みることで楽じゃないな
と思った

外に出たら一気に涙腺が緩みそうになった
電話をかけたが、出なかった
ラインで報告した
喧嘩の余韻も残っていた
どうしようもないやり場のない気持ちになった

そのまま職場にむかった
座れなくて、でもわたしはマタニティマークをつけるまでもいけず
座らなくていい人
そう思ったら身体がつらくても仕方ないと思った

職場の駅の近くの公園で少し
ボーッとした
陽のあたる砂場近くの石の椅子

天気が良かった

鳩が日向ぼっこをしてた
砂場では保育園児が遊んでた
よかったね

近くには外人のカップルが寄り添っていた

桜が咲き始める暖かい日だったけど
私の手はずっと冷たかった

わたしはもうまたもとの通り
一皮むけた人間にはまだなれなかった
つまらない人間

その日はそのまま仕事に没頭した
ボーッとしたまま
仕事をしていて良かったと思った
でも仕事になってなかったと思う
何かをしていないと気が狂いそうになる

関係ない話をしてないとおかしくなる

それでも寝不足も身体の弱りも隠せない
顔色が悪かった

その日は誘ってもらい会社の上司たちと食事に行った
お酒も飲んだ
ほとんど楽しくなかった
それでも笑ってた

深夜に帰宅した
珍しく起きてる
顔を見た瞬間、我慢できなくて
なんの涙かわからないけど泣いた
向こうも泣いてた
ごめん

ごめんとかではない

よくわからない

また頑張れるかわからない

世の中の人はもっとしんどい思いしてると思う
それでも手に入らない命を探し求めることは
本能だから
諦めるに諦められないから
苦痛でしかない

他人と比較してなくても
聞こえてくる情報に惑わされ揺さぶられる

小さなその手を想うことは間違ってるの?

誰もその答えは出せない

小さな命は命になる前お空に旅立った

この気持ちは、やっぱり
子どもが一人でもいる人には
到底わからない。

これからどうしたらいいのか
またわからない