ノイシュヴァンシュタイン城

約10年以上前の冬のこと

一人でドイツやオーストリアを旅したときのこと

若い女一人で、オフシーズンの真冬に
観光地に行くとか
今考えるとどうかしてたのかと思う

そんな地球の果てのような、
寂しい城で
出会いがあった

気がつくと、目が、合った

国籍の違うその彼がこちらを見ていた

城の見学をする列に並ぶ私と一瞬目が、合った

特に気にしていなかった
気のせいだと思った

城の中に入り、豪華な室内を見て回る列の中で
彼はいつの間にか近づき、私に、話しかけてきた

[一人できてるの?]

ゆったりと、穏やかな英語で彼とは聞いてきた

彼の目は優しくて、好意を持って話しかけてきてくれたのがすぐにわかった

縁なしの眼鏡に、伸びた髪の毛
清潔感のある襟のついたシャツに、
黒のジャケットを着ていたとおもう

旅をするにはきちんとした身なりだった

私も、すぐに安心感をもって彼と会話をした
と思う

後になって聞いた

かれは私に一目惚れをしたと

人生どこで、出会いがあるのか
このときの私にはまだ何も分かっていない