エレベーターで

昼休み、食後の散歩がてらマルイに行った

コートを着込んで
マルイにつきエレベーターにのり
目的のフロアーボタンを押し
扉が閉まる間際に
もう一度扉が開いた

[すみませーん]
と言い
赤ちゃんをおんぶしながら
眠った女の子を乗せたベビーカーを押した
ママさんたちが 乗り込んできた

おぶさった赤ちゃんが
操作盤をいじる私をジッと見ている

同じフロアーで降りるのね

視線に気づかぬふりをしていたら
[あー]と
赤ちゃんに呼びかけられる

聞こえないふりは出来ない

下手くそな笑みを浮かべて赤ちゃんを見てみる

お母さんが気まずそうに会釈する

正味30秒の密室

結構、赤ちゃんに見つめられることが多い

というか、
私が赤ちゃんを自然に見つけて
しまっているということなのか

見ないで、
話しかけないでって
思うときに限って
そういうことが起こる

赤ちゃん私に何を語りかけてたんだろ

ハキハキ生きろよ とか
冴えない顔してんなよ とか

子どもが深層心理で欲しくて
赤ちゃんをみてしまうのか、

わからない

ほんとはその真っ直ぐな目で見られると
辛くなる
惨めになる

そんな自分が余計情けなくなる

君たちはこんな大人になっちゃいけないよ
と思う

私は、人に何を与えられるだろう

生きていた証
探し続けてる

エレベーターが開いて、
やっと息が深く吸えるような気がした

帰りみち、
数日我慢していた大好きな喫茶店の
コーヒーを
自分のために持ち帰った

午後もがんばろ

そう思えた